本公演について 「三島由紀夫をぶっ壊す」。これがわたしたちの最大の課題でした。3月の試演では稽古期間3日、観客誘導・衣裳・照明・音響を役者4人だけで担当するという切り詰めた状況の下特別な緊張感とともに上演されました。スリリングな演劇的体験はわたしたちに大きな喜びをもたらすとともに、新たな課題を与えました。それは、「3月の上演もぶっ壊す」ということです。 葵上について 世阿弥による能『葵上』(注: 作者は厳密には不明であるが、古能に世阿弥が手を加えたと考えられています)はまさに能という芸術を代表する作品といえます。『源氏物語』に取材した本作は、車争いによって恥辱を受けた六条御息所の怨念と救済を濃密な詞章と大胆な演出で描き出しています。例えば御息所の生霊の直接の対象となる源氏の正妻・葵上は、舞台上に敷かれた着物一枚で抽象化してしまいます。その一方彼女の恨みが極点に達すると、それは般若の面として具象化されるのです。そして生霊は山伏との戦いの後見事成仏します。 (以上、当日パンフレットより抜粋) |
舞台写真